チャンドラの杯
「やあ」とシドが片手を上げた。
「やあ」とロエンもニッコリした。
「マザーに会いに来たの?」
 僕は頷いた。
「シドが会いたいんだって。マザーが、今どこにいるかわかる?」
「揺籃室だよ」とロエンは教えてくれた。
「そうか、もうじき新しい子が生まれるんだね」
 僕とロエンは微笑んだけれど、シドは「揺籃室?」と変な顔をした。

 ロエンにお礼を言って更に奧に進もうとすると、シドが「ちょっといいかい?」とロエンに声をかけた。
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