チャンドラの杯
「ソーマとシドはどうして旅をしているの?」
シドは何か言いかけたようだったが、ロエンが質問したので途切れてしまった。
ロエンはいつもの、僕の大好きな穏やかな眼差しをしている。
「どこか、目指している場所があるの?」
僕とココがまだ聞いていない質問だった。
シドは幾つもの考えが頭の中を駆け巡っている様子でしばらく口を閉ざしていた。
「そうだ」とようやくシドは元の表情に戻って口を開いた。
「捜し物をしてるんだ・・・・・・」
その捜し物というのが何なのか、僕は次の言葉を待ったがシドはそれについてはもう何にも言わずにマザーの所へ行きたがった。
「じゃあロエン、また夕御飯のときにね」
僕はロエンに手を振った。絵の前から立ち去る時、シドがなぜあんな目で僕のことを見たのだろうと思って、もう一度デッサンに描かれた自分を見た。ココとロエンに挟まれて微笑んでいる僕。何もおかしな所は発見できない。
僕は首を捻って、プレートの日付に目をやった。
マザーが僕らを描いてくれたあの──四十年程前の日付が刻んであるだけだった。
シドは何か言いかけたようだったが、ロエンが質問したので途切れてしまった。
ロエンはいつもの、僕の大好きな穏やかな眼差しをしている。
「どこか、目指している場所があるの?」
僕とココがまだ聞いていない質問だった。
シドは幾つもの考えが頭の中を駆け巡っている様子でしばらく口を閉ざしていた。
「そうだ」とようやくシドは元の表情に戻って口を開いた。
「捜し物をしてるんだ・・・・・・」
その捜し物というのが何なのか、僕は次の言葉を待ったがシドはそれについてはもう何にも言わずにマザーの所へ行きたがった。
「じゃあロエン、また夕御飯のときにね」
僕はロエンに手を振った。絵の前から立ち去る時、シドがなぜあんな目で僕のことを見たのだろうと思って、もう一度デッサンに描かれた自分を見た。ココとロエンに挟まれて微笑んでいる僕。何もおかしな所は発見できない。
僕は首を捻って、プレートの日付に目をやった。
マザーが僕らを描いてくれたあの──四十年程前の日付が刻んであるだけだった。