チャンドラの杯
 屋上の床に空いた扉から再び建物の中に戻り、扉を閉めて梯子を降りようとした時だった。

 パン。音がした。

 上からだった。
 パン。二度。パン。そして三度。
 僕は慌てて梯子を上った。心臓がどきどきしているのがわかった。

「弾丸を避けたな!」
 扉を開けた時、シドがそう怒鳴っているのが聞こえた。
 パン、とまたあの嫌な音がする。

 シド!
 僕は急いで音のするほうに顔を向ける。
 シド! シドが話をするって、武器を使うことなの!

 パン。もう一度音がして、今度はその音に重なってガン、という金属で金属を叩いたような音が聞こえた。

 土砂降りの中に『拳銃』を構えたシドがいて、その先にガンナイフを抜刀した体勢のロエンがいた。
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