チャンドラの杯
「その目、それにその動き──」
シドがロエンに言う声が届いた。
「ロエン、お前もヤッカだな?」
「違うよ!」
僕は思わず扉から駆け出して、ロエンの前に転がり出た。
「ロエンは人間だよ! 僕たちと同じ病気なんだ」
「うん。そうだな、病気だよ」
シドの目は蒼い。蒼いはずなのに──赤く見える。稲妻のせいだろうか。
「ただし、きみたちとは違う病気だけどね。俺やソーマと同じ病気だ」
空を閃光が走り、激しい轟音が鳴った。
「シドも病気なの?」
「そうだよ」
「じゃあ、そのうち死んじゃうの?」
「死なないよ」
シドは首を横に振った。殴りつけるような雨が痛い。
「病気だから、死なないんだ」
「・・・・・・?」
「だよな、ロエン」
僕はロエンを振り返った。ロエンは何も言わない。黒い髪が風に踊っている。瞳と同じ色のはずのロエンの目が、赤く輝いているように見えた。
シドがロエンに言う声が届いた。
「ロエン、お前もヤッカだな?」
「違うよ!」
僕は思わず扉から駆け出して、ロエンの前に転がり出た。
「ロエンは人間だよ! 僕たちと同じ病気なんだ」
「うん。そうだな、病気だよ」
シドの目は蒼い。蒼いはずなのに──赤く見える。稲妻のせいだろうか。
「ただし、きみたちとは違う病気だけどね。俺やソーマと同じ病気だ」
空を閃光が走り、激しい轟音が鳴った。
「シドも病気なの?」
「そうだよ」
「じゃあ、そのうち死んじゃうの?」
「死なないよ」
シドは首を横に振った。殴りつけるような雨が痛い。
「病気だから、死なないんだ」
「・・・・・・?」
「だよな、ロエン」
僕はロエンを振り返った。ロエンは何も言わない。黒い髪が風に踊っている。瞳と同じ色のはずのロエンの目が、赤く輝いているように見えた。