チャンドラの杯
「俺たちは明日の朝、ここを発つ」とシドが言った。

 僕はシドを見る。
「シドとソーマ、行っちゃうの?」
「うん。捜し物を続けなくちゃならないからね」
「捜し物って?」
「希望さ」

 雲間から夕日が顔を見せた。夕立の後の清々しい空気が吹き込んでくる。

「希望・・・・・・」
「ここにあるかと思ったけど、違ってた──いや」
 シドは僕に向かって寂しそうに笑いかけた。

「ここにも確かにあったよ。だけど俺たちが探すものとは違ってた」
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