チャンドラの杯
夢だ。遠い日に見た夢の話だ。
私は車を運転している。
辺りは仄暗く、蒼い空は日の入り後か日の出前か判別できない。
けれど前方から吹きつける静謐で冷たい空気は紛れもなく夜明け前のもので、だとするとフロント越しに白金の輝きを見せる空の一部分はこれからその光の腕を広げ、世界を再び目覚めさせようとしているのだろう。
ハイウェイを走る他の車の影は無い。
この静寂が夜明け前という時刻のせいなのか、タイヤの下のアスファルトが酷くひび割れているせいなのか私にはわからない。
ひび割れた道は荒野の中を突っ切って彼方の地平の先へと続き、立ち枯れたメタセコイヤの大木が累々と、街灯の代わりに両脇からエンジン音を導いている。
世界の終わりだ。終末の夢。
私は車を運転している。
辺りは仄暗く、蒼い空は日の入り後か日の出前か判別できない。
けれど前方から吹きつける静謐で冷たい空気は紛れもなく夜明け前のもので、だとするとフロント越しに白金の輝きを見せる空の一部分はこれからその光の腕を広げ、世界を再び目覚めさせようとしているのだろう。
ハイウェイを走る他の車の影は無い。
この静寂が夜明け前という時刻のせいなのか、タイヤの下のアスファルトが酷くひび割れているせいなのか私にはわからない。
ひび割れた道は荒野の中を突っ切って彼方の地平の先へと続き、立ち枯れたメタセコイヤの大木が累々と、街灯の代わりに両脇からエンジン音を導いている。
世界の終わりだ。終末の夢。