チャンドラの杯
世界には私たちしかいない。
私と、彼女。
私の大切な人。
私は横を向いて彼女の顔をよく見ようとするのだけれど、ハンドルを握っていてできない。
助手席で眠っているのはきっとヒナだ。ヒナの黒い肌、黒い髪。
「この子をお願い」
懐かしいヒナの声。
「私の娘よ。守ってあげて」
ヒナの瞳。私を映す黒い瞳・・・・・・夢だ、これは夢の話・・・・・・──助手席で眠っていた彼女が身じろぎする。
「ん・・・・・・おはよう、シド」
聞き慣れた彼女の声。懐かしい人の響きを含んだ声。
「おはよう、ソーマ」
私はハンドルを握ったままで彼女の名前を呼ぶ。ソーマは私に微笑んで、それから窓から手を出してぽんと車のボディーを叩く。
「おはよう、ディーディも」
「ソーマ、まだ眠っていていいよ」
「んん・・・・・・」
ソーマは黒い指先で目を擦った。
私と、彼女。
私の大切な人。
私は横を向いて彼女の顔をよく見ようとするのだけれど、ハンドルを握っていてできない。
助手席で眠っているのはきっとヒナだ。ヒナの黒い肌、黒い髪。
「この子をお願い」
懐かしいヒナの声。
「私の娘よ。守ってあげて」
ヒナの瞳。私を映す黒い瞳・・・・・・夢だ、これは夢の話・・・・・・──助手席で眠っていた彼女が身じろぎする。
「ん・・・・・・おはよう、シド」
聞き慣れた彼女の声。懐かしい人の響きを含んだ声。
「おはよう、ソーマ」
私はハンドルを握ったままで彼女の名前を呼ぶ。ソーマは私に微笑んで、それから窓から手を出してぽんと車のボディーを叩く。
「おはよう、ディーディも」
「ソーマ、まだ眠っていていいよ」
「んん・・・・・・」
ソーマは黒い指先で目を擦った。