チャンドラの杯
視界を割って、真横の方向に地面の上を何かが伸びている。
路線だった。
砂と岩しかない荒野の中、錆びた線路がひび割れた道路と交差している。
よく見ると、遮断機の残骸のような鉄屑が道の脇に立っている。
遮断機のそばに、人間が倒れていた。
黒い布を纏っている。
どうやらその人物は線路の上を歩いていたようだ。ちょうど道路のほうを通りかかった私の車が撥ねてしまったらしかった。
踏切事故。
文明が崩壊した後に。しかも衝突したのは列車ではなくて人とは。
冗談みたいな話だが、笑っている場合ではない。
「大丈夫ですか」
怒鳴りながら駆け寄った私は、人影まで数歩の所で立ち止まった。
首と片足が変な向きに曲がっている。明らかに即死だ。即死に違いないのに、人影がゆらりと立ち上がった。
折れていた首と足が元通りになる。
「ヤッカ──」
路線だった。
砂と岩しかない荒野の中、錆びた線路がひび割れた道路と交差している。
よく見ると、遮断機の残骸のような鉄屑が道の脇に立っている。
遮断機のそばに、人間が倒れていた。
黒い布を纏っている。
どうやらその人物は線路の上を歩いていたようだ。ちょうど道路のほうを通りかかった私の車が撥ねてしまったらしかった。
踏切事故。
文明が崩壊した後に。しかも衝突したのは列車ではなくて人とは。
冗談みたいな話だが、笑っている場合ではない。
「大丈夫ですか」
怒鳴りながら駆け寄った私は、人影まで数歩の所で立ち止まった。
首と片足が変な向きに曲がっている。明らかに即死だ。即死に違いないのに、人影がゆらりと立ち上がった。
折れていた首と足が元通りになる。
「ヤッカ──」