チャンドラの杯
 嫌な予感がして、レーザーのボタンを押し込みながら咄嗟に頭を大きく傾けた──瞬間、直前まで私の額があった場所を閃光が過ぎった。

「良い勘をしているねえ、シドニー・アシュトン。軍人や警官まで殺した大量殺人犯だけあるよ」

 反射光で私の頭を狙うとは──おそらく通常の弾丸でも、跳弾を利用して同じことができるのだろう。
 どうやら私の前で笑っているのは何かの達人らしい。

「あんたいったい何者だ?」
 サムライウーマンか?

「彼女を守る者だよ」
 女はそんなふうに答えた。
「叶月を傷つける者を私は排除する。君は彼女にとって危険だ、シドニー・アシュトン」

 言うなり、刀を構えて私に向かってくる。
 一瞬で目の前だ。

「やめてえ!」

 ソーマの絶叫が、私に届こうとしていた刃の動きを停止させた。
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