チャンドラの杯
彼女が出ているときには、私は何もできないんですと叶月は言った。
「ただ体の外から見ていることしかできないのです」
「体の外から・・・・・・?」
「はい。影法師の中から」
叶月の話によると、彼女は「狂月」と話し合うことはできても基本的に逆らうことはできないらしい。
「多重人格」という言葉が浮かんだ。私は精神科医だったことがないので詳しくはわからないが、解離性人格障害とかいうものだ。
一人の人間の中に二人以上の異なる人格が存在していて、同じ人間なのに端から見ると別人のように振る舞う。
異なる人格の間では、言動や性格、声まで別人のように違うという。
狂月は叶月が自らを守るために生み出した人格、ということだろうか。
似ていると思った。私と──ソーマに。
「ただ体の外から見ていることしかできないのです」
「体の外から・・・・・・?」
「はい。影法師の中から」
叶月の話によると、彼女は「狂月」と話し合うことはできても基本的に逆らうことはできないらしい。
「多重人格」という言葉が浮かんだ。私は精神科医だったことがないので詳しくはわからないが、解離性人格障害とかいうものだ。
一人の人間の中に二人以上の異なる人格が存在していて、同じ人間なのに端から見ると別人のように振る舞う。
異なる人格の間では、言動や性格、声まで別人のように違うという。
狂月は叶月が自らを守るために生み出した人格、ということだろうか。
似ていると思った。私と──ソーマに。