チャンドラの杯
案内されたのはやはり廃墟を改装した質素な住まいだった。
戸口の所で村人に言われ、トランクと刀を預けて中に入った。
先程の家よりも少し広い気がする。それでも村の人々が何人か私を囲んで石の床に直接座るといっぱいになってしまう。
ユイファが村長の家だと説明してくれた。
「おもてなしと言っても、大したものは出せませんが」
村長はそう言って、香草の良い匂いがするお粥のようなものを振る舞ってくれた。具には何かの植物の根と茎が入っている。
久々の温かい食事だ。私は有り難くいただくことにする。
「皆さんは、ここにずっと住んでらっしゃるのですか」
「ええ。時々ああしてヤッカが襲ってくることがあるのです。前の時は村人総出で狩ったのじゃが、今回は突然のことで・・・・・・助かりました」
村長は深々と頭を下げた。私はお粥を口に持ってゆく。塩加減も味も良くて、とても美味しかった。
「改めてお礼を言います。有り難うございました」
ヤッカは人を襲う魔物だ。夜でも昼でも関係なく現れて暴れる。その力は人の何倍もあって、動きは人の何倍も速い。
線路を歩くうちに何度も出会したことがあって私は撃退できるけれど、普通の人が住む村が突然襲われたら何人も被害者が出るだろう。
恐ろしいことに、こちらが突こうが切ろうがヤッカは死なない。先程みたいに真っ二つにしても、放っておけば半刻も待たずに元通り。
とどめを刺すには火で焼くしかない。
「叶月さんは女の方なのにお強いのですね」
村人の一人が感心した様子で言った。別に男とか女とかは関係ないと思うのだけれど。
戸口の所で村人に言われ、トランクと刀を預けて中に入った。
先程の家よりも少し広い気がする。それでも村の人々が何人か私を囲んで石の床に直接座るといっぱいになってしまう。
ユイファが村長の家だと説明してくれた。
「おもてなしと言っても、大したものは出せませんが」
村長はそう言って、香草の良い匂いがするお粥のようなものを振る舞ってくれた。具には何かの植物の根と茎が入っている。
久々の温かい食事だ。私は有り難くいただくことにする。
「皆さんは、ここにずっと住んでらっしゃるのですか」
「ええ。時々ああしてヤッカが襲ってくることがあるのです。前の時は村人総出で狩ったのじゃが、今回は突然のことで・・・・・・助かりました」
村長は深々と頭を下げた。私はお粥を口に持ってゆく。塩加減も味も良くて、とても美味しかった。
「改めてお礼を言います。有り難うございました」
ヤッカは人を襲う魔物だ。夜でも昼でも関係なく現れて暴れる。その力は人の何倍もあって、動きは人の何倍も速い。
線路を歩くうちに何度も出会したことがあって私は撃退できるけれど、普通の人が住む村が突然襲われたら何人も被害者が出るだろう。
恐ろしいことに、こちらが突こうが切ろうがヤッカは死なない。先程みたいに真っ二つにしても、放っておけば半刻も待たずに元通り。
とどめを刺すには火で焼くしかない。
「叶月さんは女の方なのにお強いのですね」
村人の一人が感心した様子で言った。別に男とか女とかは関係ないと思うのだけれど。