チャンドラの杯
「叶月さんはどこから来られたのですか」
「線路からです」
「線路から・・・・・・?」
私の答えを聞いて、村人たちは不思議そうな顔をした。
「向こうにずうっと伸びているあれですよ。私は線路の上を歩いているのです」
「はあ」
貫頭衣は困ったように首を傾げた。
「では、どこから歩いて来たのですか?」
私はお粥を食べる手を止める。今度は私が困る番だった。
「どこからでしょう? ずうっと歩いてきたものですから・・・・・・」
覚えていない。
「きっと、線路の始まる場所からだと思うのですが」
それがどこだったのか。少し不安になった。私の記憶に始点は無い。
「きっと、忘れてしまうほど長く歩いてこられたのですね」
村人が笑った。
「きっと、忘れてしまうほど長く歩いてきたのです」
私も笑った。不安を消すように、お粥を全部かき込んだ。
「では、人がたくさん住んでいる場所はありませんでしたか?」
村長が尋ねた。周りの村人たちが皆、お椀を置く私に食い入るような視線を注いでいた。
「大きな『都市』は?」
私は首を振った。
「人が住んでいる場所はいくつか見てきましたが、大抵はここと同じような村です。ただ・・・・・・」
「ただ?」
貫頭衣たちが身を乗り出した。
「ただ、ずうっとずうっと昔に一つだけ、人がたくさん住んでいる場所を見ました」
「おお!」
「それは、どこです?」
「それは・・・・・・」
「線路からです」
「線路から・・・・・・?」
私の答えを聞いて、村人たちは不思議そうな顔をした。
「向こうにずうっと伸びているあれですよ。私は線路の上を歩いているのです」
「はあ」
貫頭衣は困ったように首を傾げた。
「では、どこから歩いて来たのですか?」
私はお粥を食べる手を止める。今度は私が困る番だった。
「どこからでしょう? ずうっと歩いてきたものですから・・・・・・」
覚えていない。
「きっと、線路の始まる場所からだと思うのですが」
それがどこだったのか。少し不安になった。私の記憶に始点は無い。
「きっと、忘れてしまうほど長く歩いてこられたのですね」
村人が笑った。
「きっと、忘れてしまうほど長く歩いてきたのです」
私も笑った。不安を消すように、お粥を全部かき込んだ。
「では、人がたくさん住んでいる場所はありませんでしたか?」
村長が尋ねた。周りの村人たちが皆、お椀を置く私に食い入るような視線を注いでいた。
「大きな『都市』は?」
私は首を振った。
「人が住んでいる場所はいくつか見てきましたが、大抵はここと同じような村です。ただ・・・・・・」
「ただ?」
貫頭衣たちが身を乗り出した。
「ただ、ずうっとずうっと昔に一つだけ、人がたくさん住んでいる場所を見ました」
「おお!」
「それは、どこです?」
「それは・・・・・・」