アリス☆ぱにっく
自分の口から出た言葉にあたしは驚いた。
今、あたし、なんて言った?
時計、屋さんって、
ぶつかった彼を見ると、あちらも凄く驚いた顔をしていて。
「…もしかして、アリス?」
その言葉にチクリと胸が痛む。
チガウ、チガウ、
あたしはアリスなんかじゃ…
そう思っているのに首を縦にも横にも振ることが出来ない。
あたしがなにも反応しないでいると、彼はあたしに笑い掛けながら言った。
「少し、お話でもしませんか?」
少し戸惑っているようだけど、その目にはちゃんとした意志が感じられて。
あたしは知らず知らず頷いていた。
(ああ、時計屋さん)(ずいぶん愛想が良くなったのね)