【短】みるくちょこ
「アレは新しいの?」
「まさかっ」
「あれは・・・、まぁいっか。帰るんだろ?送るよ」
「うん」
タクさんの腕の中には紙袋があって、
果物やら、野菜やらが見え隠れする。
「買い物?」
「あぁ、帰り道信号で停車してたら美波が見えて、
雰囲気が変だったからついね」
柔らかく微笑むと、車に乗り込む。
お店ではいつもジャズだった。
でも車の中はアップテンポの洋楽。
こっちの方がタクさんらしい気がする。
変な緊張をしたせいか、
掌がしっとりと汗ばんでいた。
スカートで拭うように擦る。