【短】みるくちょこ
「人を扱き使っといて、
何ほのぼのしてんだよ」
扉が勢いよく開いて、
和海くんが顔を覗かせた。
頬をぷくっと膨らませて、
怒った仕草をしてみせるけど、
それはフリだと分かる。
「美波ちゃんには悪いけど、
兄貴手が足りないから助けてよ」
「あぁ、悪い」
和海くんは言うと、
私に手を挙げて挨拶だけすると、
忙しそうに出て行ってしまった。
「美波、俺は仕事に戻るから。
今日は和海がやってくれるから、
もう少ししたら戻れるけど、ここで待っとくか?」
「わっごめんなさい、急に押しかけて・・・。
今日はもう
・・・くしゅんっ!!」
帰ると言いかけて、
くしゃみが口を突いて出た。
ちょっと恥ずかしい。
顔を下げてると、
コツンとおでこに暖かい感触が。
顔を上げると、タクさんの顔がドアップ。