やがて足が止まるまで
「なによ!ちょっと大きいからってバカにして!」
 クルミは噛み付きそうな勢いで言った。背が小さいことがコンプレックスで、学校で前習いができないことに苛立っているらしい。高飛車な性格で友達ができにくいので、いつもハロにくっついている。金の髪と緑色の瞳、均整のとれた顔つきで美少女と評判で、その容姿に騙される者がいるが、実際は悪魔だ。ハロより5歳下で、今年10歳になる。
 ハロは自転車のカゴから白い麻布のカバンを取り、肩にかけた。今まで学校に置いていた教科書を持ってきたので、とても重い。
「成長期早く来るといいねえ。クルミちゃん。」
 ハロは、骨董屋という看板がかかった店の古ぼけたガラス戸を押し開け、中に入ろうとした時、クルミがハロの自転車を蹴り倒した。
「あ、こら!この前買い替えたばかりなのに!」
 ハロは自転車を起こし、どこにも傷がないか見た。するとカゴがやや斜めに傾いている。
「ちょっとクルミ!」
 と呼びかけたが、クルミは店の中へ入っていった。金の髪が太陽に反射してきらきらと揺れる。ハロは舌打ちをし、店の中へ入った。クソガキめ。
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