やがて足が止まるまで
■第2話
「おう、来たか。」
店主のサダオは白いランニングに半ズボン姿で、団扇をあおぎながら言った。確か今年70歳になったはずだ。少なくなった髪は白髪で、ランニングから出る腕は細い。昔はトレジャーハンターとして名を轟かせたようだが、今ではその姿は微塵も感じられなかった。
店の中は蒸し暑く、奥のテーブルの上で扇風機が空しく回っていた。暑い空気を巡回させているだけだ。
街の者たちからは、この店はがらくた屋といわれていた。洞窟に眠っていた昔の生活用品やら工具やらが、店に並べられている。時々物好きな人たちが買いに来るほかは、あまり店のドアは開かない。
「いつになったらクーラー付けるの?この店。」
クルミは言い、黒革のソファに座った。特上の客しか座らせないソファだが、何度注意してもやめないので、とうとうサダオも注意しなくなってしまった。
「わしはあんなもの嫌いなんだ!」
ハロは、サダオが座っているソファの向かいに座った。カバーは半分めくれ上がって、綿とスポンジが露出している。
「あのさ、私、夏休み中は色んなところに行ってみようと思って。それでね、お休みが欲しいんだけど…」
「探検か。この辺の洞窟に宝なんかありゃせんぞ。」
「そんなのわからないよ!とにかく、夏休みはお休みをもらいますからね。」
「行くだけ無駄だぞ。みんな取りつくされちまってるんだからな。」
「あと先月のお給料!いつくれるの?」
「う…」
サダオはハロから目線をそらした。
「おう、来たか。」
店主のサダオは白いランニングに半ズボン姿で、団扇をあおぎながら言った。確か今年70歳になったはずだ。少なくなった髪は白髪で、ランニングから出る腕は細い。昔はトレジャーハンターとして名を轟かせたようだが、今ではその姿は微塵も感じられなかった。
店の中は蒸し暑く、奥のテーブルの上で扇風機が空しく回っていた。暑い空気を巡回させているだけだ。
街の者たちからは、この店はがらくた屋といわれていた。洞窟に眠っていた昔の生活用品やら工具やらが、店に並べられている。時々物好きな人たちが買いに来るほかは、あまり店のドアは開かない。
「いつになったらクーラー付けるの?この店。」
クルミは言い、黒革のソファに座った。特上の客しか座らせないソファだが、何度注意してもやめないので、とうとうサダオも注意しなくなってしまった。
「わしはあんなもの嫌いなんだ!」
ハロは、サダオが座っているソファの向かいに座った。カバーは半分めくれ上がって、綿とスポンジが露出している。
「あのさ、私、夏休み中は色んなところに行ってみようと思って。それでね、お休みが欲しいんだけど…」
「探検か。この辺の洞窟に宝なんかありゃせんぞ。」
「そんなのわからないよ!とにかく、夏休みはお休みをもらいますからね。」
「行くだけ無駄だぞ。みんな取りつくされちまってるんだからな。」
「あと先月のお給料!いつくれるの?」
「う…」
サダオはハロから目線をそらした。