−形のなぃモノ−

狭い更衣室に入ると
誰もいなくて
ぁたしはゆっくりと
制服に着替えた。


グロスを塗り直して
ホールに上がると
客席でタバコを吸っている朝海がいた。





『おはよう』


気配を感じて
ぁたしに気付いた朝海が顔をあげた。



『おはようございます』



ぁたしはいつもの様に
作り笑顔で言った。





『はやいねぇ。まだパートさん来ないよ?』


朝海は
ホールの大きな時計を見ながら言った。

吊られて時計を見て見ると、まだ8時50分だった。



『多分、寝ぼけてて時計見間違えました。』



『そぅ。どうする?一回帰る?』




『いや、せっかく来たんでもぅ仕事しておきます。駄目ですか?』




『いや、いいけど何したらいいとかわかる?朝は初めてだよね?』



『はい。』



『前の店でやってたみたいでいいから、とりあえずトイレ掃除しておいで?道具はトイレの横の倉庫にあるから。』




『わかりました。』






そぅ言うと
ぁたしは
倉庫から掃除道具を取り、トイレ掃除を初めた。





大きな鏡に手を伸ばし、
掃除をしている感覚もなく拭いていた。





その時、携帯のバイブが鳴った。





《俺、別れないから。》





ゅうからのメール。

昨日できれいに別れたと思ったのに…。



いつもこうなる。






結局別れられなぃ。





ぁたしはメールを無視して
ポケットにしまった。







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