心 ―ハジマリノウタ―



私とレイが2人を眺めていると、

ふとリオが視線を上げた。




「あ!

あれから会わなかったから、

心配していました!」




私に声をかけたリオ。


メイが抱きついていた腕は、振り払われ、

メイは私を恨めしげに睨んでいる。


私の隣では、レイが呆れたように首を振っていた。




「ありがとうございます」



レイの言葉を思い返しながら返答する。


確かにこの子の目は今、

私への憎悪を燃やしている。




「訓練服だったから、分かりませんでした」



「リオぉー」




メイがリオの名を呼ぶ。


彼はハッとしたようにメイに目を向けた。




「リオ、何でこの人には敬語なの?」




メイが不服そうに言った。




「この人は失礼だろ、メイ」




リオが、彼女をしかる。


レイは私の隣で頭を抱えている。


メイはそっぽを向いて、

リオは申し訳なさそうな顔をしていた。




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