心 ―ハジマリノウタ―
私は首を振った。
奴隷ではない。
この意味が、ようやく分かった。
クリスタルの言うとおり、
私は奴隷では無くなった。
そして、人のために。
これが、私の意志。
たとえ、何も感じることができなくても。
心が、無かったとしても。
その時、耳障りな音が建物中に響いた。
集合のブザーだ。
何時か、ジグが鳴らしていた、あのブザー。
レイも姿勢を立て直して、
私を見た。
「集合のブザーだ!
ユア、行こう!!
何か、重大な発表があるんだ」
私はレイの背中を追って、
走り出した。