心 ―ハジマリノウタ―
第四章
Having A Heart
私とレイがリビングに辿りついたとき、
もう既にそこは人で溢れていた。
人々は床にも腰を下ろし、
真ん中に座っているロックを見上げていた。
ロックは難しい顔をして、
増えて行く能力者を見つめていた。
そのすぐ近くにリヴィアの姿も見えた。
私とレイも、人に倣って床に座ると、
しばらくして、ロックが口を開いた。
「皆、集まったね。
これから言うことをよく聞いて欲しい」
いつも朗らかなロックの声が、硬く強張っている。
人々はその様子に、
ただならぬ気配を感じているようだ。
ロックが再び口を開いた。
「ここのアジトを撤退することになった」
囁きが一斉に広がる。
波のように広がっていくそれを、
ロックが手で制する。