心 ―ハジマリノウタ―
「一昨日、三つのアジトの代表者で
緊急会議が召集された。
このアジトからは、僕とジグが出席した。
緊急会議の内容は、
ドレイ工場からドレイが大量に攻め込んで来る、
ということだった。
工場から直接、ということは
狙われるのは、当然このアジトなんだ」
おさまったざわめきが再び人々の間に広がる。
ドレイが、大量に攻め込んでくる…。
それはつまり、
更に大きな戦いが起こる、ということ。
「このアジトは今まで前面戦線には向かわず、
ただ人を救う事に力を注いできた。
だからこそ、場所を知られることも無く
やってこれた。
けど、逆に言えば、戦いには向いていないし、
場所こそバレれば、
間違いなく僕らは劣勢……」
悔しげに唇を噛むロック。
しかし、確かにこのアジトが
戦いに向いているとは思えない。
迎え撃つ砦でもなければ、
周りに広がるのは一般人が住む街。
今までのように秘密裏に動くなら
有利とも考えられないことはないが、
明らかに、劣勢だ。
その時、誰かが声を上げた。
「戦わずに、逃げるのか?!」