心 ―ハジマリノウタ―
その声に続いて、次々と反対の声が上がる。
隣に居たレイの顔を見ると、
レイも眉をしかめて、
複雑そうな顔をしていた。
「そうだ!戦おう」
「逃げるなんて、負けを認めるようなものだ!」
「勝算なんて、やってみないと分からない!!」
次々にあがる反対の声をロックは、
眉を下げながら聞いていた。
その声を制そうとしたロックを、
隣に立っていたジグが止めると、話し始めた。
落ち着いた平淡な声に
人々は一瞬で静まり返る。
「負け戦に挑むほどの兵力は
今の我らにはない。
ドレイは数を増やしている。
今、能力者を失うわけにはいかぬ、
ということはお前たちも分かっているはずだ」
老人の最もな意見に、
人々は何も言うことができないようだった。
そして、ジグは再び口を開いた。
「それに、この決定には
会議の希望が込められているのだ…」
そして、彼は私の名を呼んだ。
「ユア、という、な……」