心 ―ハジマリノウタ―





唇から、旋律が溢れた。


歌など歌ったことは無かった。


それでも、私の心から

言葉が、感情が、苦しみが

溢れていく。


リヴィアを抱きしめる手が震える。


けれど、私は歌い続ける。


私の声は、戦場に響く。


ふと目を向けた空には、灰が舞い、

戦闘など嘘のように、

辺りは静まり返っていた。


それでも、私は歌い続けた。


リヴィアの血が、ようやく止まった。




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