心 ―ハジマリノウタ―
私はその後、リビングに連れて行かれ、
ソファに座って、さっきのことを話した。
といっても話すことなんて、何も無かった。
私はただ屋上に居ただけで、
何もしては居なかったのだから。
能力者は皆、私の話をききに来た。
ロックと、治療班、そしてリヴィア以外は。
恐らく、治療に当たっているのだろう。
私の話を目を瞑って聞いていた人々。
「お前のその心は、帰ってきたんだな?」
私は答えなかった。
本当に帰ってきたのか?
そんなことは定かに出来ない。
見えないのだから。
「お前の歌……
戦っている間に、我らもきいた。
その歌が聞こえてくると、突然奴隷は灰に化し、
外の奴隷達も皆、灰となった。
本当にお前が歌っていたのだな?」
私は、頷いた。
「ということは、ジグよ…
ここを撤退しなくてもいい、
ってことだな?」
小柄な老婆が私の後ろで言った。
老人は重々しく頷いた。
そして、立ち上がった。
「荷物をといて、後始末にかかれ!
ユア、お前は少し残れ」
私は再び、黙って頷いた。