心 ―ハジマリノウタ―
私は老人の言葉通り、去ろうとしなかった。
ただソファに座り込んでいた。
まるで心の無い、人のように…。
今はただ、何も感じたくなかった。
「レイ、リオ!そして、メイ!
お前らも早く行くんだ」
老人はソファの側に残った3人に声をかけた。
しかし、メイはともかく2人の少年は
動こうとしなかった。
「いいじゃん、残ったって。
ユアの、能力のことだろ?」
「俺も残りたい。
最初に気づいたのは、俺達だったわけだし」
老人は腕を組んだ。
それから、諦めたように言った。
「仕方があるまい。
さっさと治療室に居るロックを呼んで来い!」
すると、リオとレイは、パッと顔を輝かせ
部屋を出て行こうとした。
が、その時、メイが
リオの服を引っ張って言った。
メイは、明らかに機嫌が悪かった。
リオの言い方が気に入らなかったのだろう。
「ねえ、リオぉ、もういこぉ?
何でそんなに気になるの?
どうでもいいじゃんっこんな奴!」