心 ―ハジマリノウタ―
「俺は、あのアジトでリオに会った。
もうきっとリオはあそこには居ないと思う。
でも、ダイガさんなら何か知ってるかも。
メイを探すって言っても、あっちの区域に入ると、ダイガさんの許可が必要だろ?
だから、理由を話してるかもしれない」
ダイガ、というのは、
もう一つのアジトのリーダーに当たる人のことだ。
能力者のアジトは、南西・中央・北の4つがあり、
南西のリーダーはダイガ、
主に武器の開発に力を入れている。
中央のリーダーはロック、ジグの2人で権力を二分し、
ドレイ工場の動向を監視する役目だ。
北のリーダーはサリンという女の人で
ドレイ、そしてクリスタルの研究を担当している。
それぞれのアジトは区域を持ち、
自分の区域のドレイを制裁するのだが、
その区域に入るには、許可が必要らしい。
何でも、南西アジトの開発したドレイ探知機は、
クリスタルの力も同様に感知してしまうそうだ。
「…確かに一理あるね。
話してくれるかどうかは別として、
何かリオが手がかりを残してるかもしれない。
それに、カマをかけられる」
「カマ?」
リヴィアの言葉に、レイが尋ね返した。
私は頷きながら、
レイに説明した。
「ロックさんやジグさんは
私たちがまだ真実を知らないと思っています。
でも、そんな私たちが、
いきなりリオが居たと言うアジトに行きたいと言い出す…
もしかしたら、真実に辿りついたと勘違いして、
何か教えてくれるかもしれません」