心 ―ハジマリノウタ―
「理由ならある。
お前たちには他の任務があるからだ」
他の任務。
私とレイは顔を見合わせた。
今はドレイの動向に変化も無く、任務は少なく、
レイや私のような、未成年の能力者は借り出されていなかった。
それ故に、リオも恐らくメイを探しにいけたのだろう。
「任務?そんなの聞いてないぜ?」
レイが痺れを切らしたように尋ねた。
ロックが申し訳なさそうな顔をして謝ると、
さっき決まったことなんだ、と言った。
「ついさっきね、議会で決まったんだ。
僕と10人の能力者で最近、
変なドレイが現れてるらしい
“カーザス湾”に調査に行くことになってね」
カーザス湾とは、
この中央アジトは内陸にあり、
カーザスの港が一番近い海なのだ。
海に、ドレイ?
私が工場で見てきたドレイは
どれも機械仕掛けであり、水に強いとは思えない…。
「あたし達も来いってことかい?」
「いいや、それは違うよ。
大体、病み上がりのリヴィアに
そんな任務を頼めるわけ無いじゃないか!」
病んでないんだけどね、とリヴィアは呟くと、
更にロックに尋ねた。