心 ―ハジマリノウタ―
「つまり、どういうことだい?」
「僕らが留守の間、アジトの守りは薄くなる。
強靭な能力者を連れて行ってしまうからね。
リヴィアとレイには、僕らが帰ってくるまで、
アジトに待機しておいてほしいんだ」
それは、要するに留守番、ということだった。
リヴィアはロックの言葉を聞くと、
強く唇を噛んで、キッとロックを睨んだ。
「待ってください。
それなら、私が南西のアジトに向かいます」
「ダメだ」
間髪いれずに答えたのは、ジグだった。
その灰色の瞳は、瞼の奥。
私はジグを見つめて言った。
「何故ですか」
「ユア、お前だけで、アジトには辿りつけぬ。
そもそも行った所で、一人だけで、
お前たちの目的を果たすことができるのか?」
まるで、南西行きの理由を知っているかのように
ジグが色素の薄い瞳で私をみた。
そして、付け加えるようにロックも口を開く。
「ああ、ユア、それにね。
今そのダイガが、
君専用のスピーカーとマイクを造ってくれている最中なんだ。
君はまだまだ戦場に慣れていないし、
近距離での戦いには向いていない。
今のところ、
その開発が終わるまで任務につけるわけにはいかないんだ」