心 ―ハジマリノウタ―



ベッドに寝かせられた能力者。


しかし、その身体は、

異常だった。


全身が赤黒く染まり、

部屋には血の匂いが充満している。


そして、更に異常なのは、

能力者たちの四肢は、

意思に反するように動き回っていることだ。


しかし、正常な動きではない。


ゴキッボキッというような

嫌な音が絶え間なく響く。


そう…

骨が折れる音だ。


しかも、それは再生されているようだ。


と、思えば、皮膚が破け、

血液があふれ出す。


能力者たちは、声も上げない。


否、喉がつぶれて声が出ないのだ。


苦痛に悶える表情、

まるで、目の前に地獄が広がっているよう。


能力者の目からは、

悲しみか苦しみか、

それとも憎しみか…


紅い紅い涙があふれ出ていた。




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