心 ―ハジマリノウタ―
表情も何も分からなかった。
ただ叫ぶように苦しむように
口を開けて
痛みに悶える男たち。
髪ももはや抜け落ち、
全身は血にまみれている。
ああ、こんな…
こんなに酷い人間をみたことがない。
最早、人間とも見えない。
この間にも、
耳を塞ぎたくなるような
嫌な骨の音は絶え間なく部屋に響く。
「ああッ…」
頭が狂ってしまいそうだった。
まるで、ベッドに横たわる
声無き能力者たちの叫びが聞こえるようで。
そして、それは憎しみに満ちていて。
耳に嫌な音が響いて、
血の流れる音を際立たせる。
それらは反響するように
私の頭のうちで響き合う。
正気を失って、焦点の合わない目が、
私を見た。
その瞬間…私は気を失った。
遠くで、誰かが私を呼んだ気がした。
「ユア…!」