心 ―ハジマリノウタ―
リオもメイもドレイ工場に居る。
そんな確信があった。
ダイガの話や地図、
根拠があるから。
しかし、ロックは…。
彼の居場所のヒントは
未だ掴めぬまま。
無事か否か、
何処にいるのか、
何故攫われたのか。
何一つ情報は無い。
リヴィアを見上げると、
何を考えているのかは分からないが、
同じように苦しげな苦々しい表情で
賑わうリビングを眺めていた。
能力者たちは皆、不安を紛らわせ、
己を鼓舞しているのか、それとも
戦闘を前に興奮を抑えきれないのか、
仲間と騒ぎあっている。
その様子に、まるで不協和音の様な
違和感を感じた。
リヴィアは戦闘の前は、
リラックスして、
精神統一を図るものだ、と教えてくれた。
今の状況は凡そそぐわない。
それどころか、
不安で、心配ばかりの私には
異様なようにも見えた。
「リヴィア、何を食べますか?」
「ん?ああ、そうだね…」
そんな違和感を消すために、
私はリヴィアに声を掛けた。
賑わうリビングで、私とリヴィアは、
静かに食事を終えた。