心 ―ハジマリノウタ―



押し寄せるドレイにも

うろたえることなく

能力者たちは歩みを進めていく。


階段をどんどん進み、

数で挑んでくるドレイを次々に

灰へ変えてゆく。


治療に来る者もほとんどいない。


エントランスで治療班は二手に別れた。


戦う能力者たちについていく、

即効隊と重態の者を扱う

待機隊とで別れたのだ。


私はどちらでも対応できるので、

忙しい即効隊についた。


これなら5階まで

私も辿りつくことができる。


私は耳に付けた

マイクに手をやりながら、

上を見上げた。


銃声は絶え間なく続き、

その分、叫び声や呻くような声も途切れない。


人々のために傷つく声が苦しかった。


スピーカーのスイッチはオンになっていた。


腰につけている戦闘用も、

腕に抱える治療用も、

双方共に黄緑色のランプが光っている。


最後尾の治療班の即効隊が

また新たなフロアにたどり着いた。


二手に別れている廊下の壁に記された

5という数字。


ついに、5階までたどり着いたのだ。



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