心 ―ハジマリノウタ―



灰色のコンクリートの柱の影に

レイの姿が見えた。


レイは私を認めると、

片目を瞑って見せて、影に消えた。


気付かれずに

あそこまでいけるだろうか?


私はそっと足音を立てないように、

柱に姿を隠した。


太い柱の影には、

リヴィア、レイ、そして

リブの姿もあった。


私の姿を見ると、

レイがニッと笑って言った。




「よっしゃ、これで全員集まったな!

行こうぜ、ユア」




私は頷いて、

柱の影から階段の様子を伺った。


どうやら気付かれずに済んだらしい。


戦闘の音は少し離れた位置から聞こえ、

治療班の姿も無い。


私はもう一度頷いて、

中央階段とは反対の方向へ

走り出した。




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