心 ―ハジマリノウタ―



俺たちは、リオとメイを救うために、

ドレイ工場へ向かった。


それは、俺たちにとっては

戦闘に勝つためでも、

長い戦いの終止符を打つための

始まりでもなかった。


ただ、仲間を救うため。


それだけだったのに。


何で、ユアを失わなきゃいけないんだ?


答えは明らかだった。


ジグだ。


ロックも消えた。


リオもメイも

身体に、心に、傷を負った。


そして、ユアは行ってしまった。


それは全てジグが仕組んだことで、

ジグは、ドレイ側の人間で…


それなら、俺たちは、

一体どうしたらいいんだろう。


絶望で身体が満たされていくのを感じる。




「ユアは…一体何処に?」



「恐らく、ハートを持つ者と一緒だろう。

アイツ…

フェイクは、ユアを欲しいと言った。

きっと、ユアは生きているはず」




ユアが生きている。


その事実でさえ、

今の俺たちを奮い立たせるほどの

威力を持たなかった。


信じられない。


俺たちは助かった。


…そうだ、俺たちは助かったんだ。


戦闘から帰ってきた。


それは、他の能力者たちも同じはずだ。


みんなの中では一体どういう風に

解釈されているんだ?


もしかしたら、今なら、

みんなの目を覚まさせてやれるかもしれない!


そうしたら、みんなでユアを

奪い返せるかもしれないじゃないか!!


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