心 ―ハジマリノウタ―




「何故そんなに悲しい目をするのですか」





私は尋ねた。


分からないからではない。


彼を苦しめたいからでもない。


ただ、彼らは私よりずっと、

人間に近いと伝えたかった。


フェイクは小さく俯いて、

囁くように言った。




「…俺たちは、造られた存在だ。

生まれたわけじゃない」




「何が違うのですか?

造られることと、生まれることの何が。

あなた達は、私よりもずっと

人間らしいのに」




私の言葉に、フェイクは顔を上げた。


その瞳には、微笑が戻っていた。


彼が手を動かして、

部屋にそっと蝋燭を灯した。





「ありがとう、ユア」





フェイクは、私を抱きしめた。




< 397 / 534 >

この作品をシェア

pagetop