心 ―ハジマリノウタ―
「何故そんなに悲しい目をするのですか」
私は尋ねた。
分からないからではない。
彼を苦しめたいからでもない。
ただ、彼らは私よりずっと、
人間に近いと伝えたかった。
フェイクは小さく俯いて、
囁くように言った。
「…俺たちは、造られた存在だ。
生まれたわけじゃない」
「何が違うのですか?
造られることと、生まれることの何が。
あなた達は、私よりもずっと
人間らしいのに」
私の言葉に、フェイクは顔を上げた。
その瞳には、微笑が戻っていた。
彼が手を動かして、
部屋にそっと蝋燭を灯した。
「ありがとう、ユア」
フェイクは、私を抱きしめた。