心 ―ハジマリノウタ―





一瞬ひやりとしたかと思うと、

私は部屋の中へ入っていた。



その部屋は薄暗く、青い炎の光だけが

辺りをぼんやりと照らしている。


奥の壁には、大きなクリスタルがあった。


壁一面に広がるその原石は美しく、

圧倒されるほどの存在感を放っていた。


クリスタルは炎の踊りに合わせ、

きらきらと輝いていた。


床や壁、天井、いたるところに

青いガラスと透明なガラスの

タイルがちりばめられていた。


私はその光景を眺めた。


何も感じることは出来ない。


何もそこから感じることは

許されない。



< 40 / 534 >

この作品をシェア

pagetop