心 ―ハジマリノウタ―
「クリスタルに触れよ」
老人のしわがれた声が言う。
私に向けられた言葉。
主様のほうを向くと、
彼も私に向かって頷いた。
私は、クリスタルへと足を踏み出した。
クリスタルを中心とした
青いタイルの円に足が触れた。
空気が震えた。
まるでクリスタルが波打ったかのように。
私以外の者もそう感じたようだった。
けれど、私は足を止めなかった。
幾重にも重なるタイルの円に、
踏み込む度、
波動は大きくなっていった。