心 ―ハジマリノウタ―





「クリスタルに触れよ」




老人のしわがれた声が言う。


私に向けられた言葉。


主様のほうを向くと、

彼も私に向かって頷いた。


私は、クリスタルへと足を踏み出した。


クリスタルを中心とした

青いタイルの円に足が触れた。



空気が震えた。


まるでクリスタルが波打ったかのように。



私以外の者もそう感じたようだった。


けれど、私は足を止めなかった。


幾重にも重なるタイルの円に、

踏み込む度、

波動は大きくなっていった。






< 41 / 534 >

この作品をシェア

pagetop