心 ―ハジマリノウタ―
ついに私はクリスタルの前にやってきた。
今やその波動は、
髪をなびかせるほどの風となって
吹き荒れている。
私はクリスタルに触れた。
ヒヤリとするはずの表面は、暖かい。
クリスタルは、暖かった。
石が熱を放っている。
私は、そのつるつるした表面に
映るであろう己を覗き込んだ。
しかし、そこに映ったのは、私ではなかった。
私と同じようにクリスタルに手を触れ、
こちらを見返す白い少女の姿をした何か。