心 ―ハジマリノウタ―




私の答えを聞くと、

少女の白い瞳がきらりと光ったように見えた。


後ろで誰かが後ずさりしたのが

視界の隅に映った。




『そう。

ならば、貴方は何故生きるの?

何の為に生きているの?』




何故?


何の為?


私は、何のためにも生きていない。


私には、分からない。




「分からない…」




私が奴隷ならば、主様のために?


私が人間ならば、愛のために?


私が心亡き者ならば、心のために?



私は何の為に生きる?





< 45 / 534 >

この作品をシェア

pagetop