心 ―ハジマリノウタ―







『そう。

ならば、我等が力を授けよう。

生きる意味を、

貴方が見つけられるように』




少女はそう歌うように言うと、

私のほうへ手を伸ばした。


すると、その透明な原石を通り抜けて、

指先、掌、腕…


私は何もせず、それ眺めていた。


するすると、何の障害もなくそこから出てくる。


やがて彼女はそこから出た。


そして、私に手を伸ばした。


彼女の指が私の喉に触れる。


その瞬間そこから光が溢れた。


色を持たない眩しい光。


視界が白へと染まっていく。









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