心 ―ハジマリノウタ―
「お言葉ですが…
ロックはまだ死んだと
決まったわけではありません」
あたしの言葉に、ハッとしたように
マズイという顔をしたダイガは、
決まり悪そうな微笑を浮かべた。
あたしの表情があまりに、
酷かったからかもしれない。
ダイガは首を振って言った。
「いや、そう言う意味じゃない。
さあ、疲れたでしょう。
今夜はもう休んでください。
明日から任務についてもらうことになりますから」
不自然なほどに、
ダイガは余所余所しくなると、
おやすみなさい、と
にっこり笑った。
その笑顔にどうしても、
裏があるように見えて、
あたしは落ち着かなかった。
そのまま、流されるように、部屋を後にした。
廊下はひんやりしていた。
時間も時間だから、人気はない。
沈黙の中、あたしは今日何回目になるのか
深いため息を吐いて、
自分の部屋へ向かった。