心 ―ハジマリノウタ―
23階に着くと、廊下に誰かの人影があった。
あたしの足音に気がついたのか、
その人物は、顔を上げ、
あたしに声を掛けた。
「リヴィア、少しいいかな」
リオだった。
あまり明かりがないせいで、
よく見えないが、顔色があまり良くない様だ。
リオは怪我をしているのに、
あたしは強引にアジトを移動する計画を
押し通した。
これだから、駄目なんだ。
あたしは、一つの事しか見えていない。
ロックなら、ユアなら、
きっとリオを気遣って、
何か別の方法を考えたかもしれない。
あたしは、頷いて、
カードリーダーにキーを差し込んだ。
「入って」