心 ―ハジマリノウタ―




「それで、話って?」




暗い部屋に灯りを灯して振り返ると、

リオは窓の外の風景に

じっと視線を送っていた。


その横顔はやはり、疲れているようだ。


漆黒の瞳は、悲しみに満ちている。


そうだ、皆同じように彼らを失った。


だから、あたしは皆のために、

彼らをすくうために、

強くあらなくてはならない。


それなのに…。


ギリッと唇を噛んだとき、

リオが振り返って言葉を発した。




「弟子になろうと思うんだ」


「…師匠は、誰?」




知らない、と首を振ったリオ。


それなのに、師弟関係を結ぶと決めた、

その理由はきっと…。




「でも、僕は強くならなくちゃ」




漆黒の瞳は、悲しみに満ちていた。


しかし、その中に強い思いと、

決心が燃えていた。



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