心 ―ハジマリノウタ―
服はぴったりだった。
まるで、私のために作られたかのように。
バスルームから部屋に戻ると、
カトレアも、同じような服に着替え、
髪もひとつにまとめていた。
「ユア、今日の任務は
そんなに難しいものではないわ
でも、任務にはイレギュラーが付き物なの」
イレギュラー?
不意に振り返ったカトレアは、
真剣な顔で、私に言った。
「ジグはああ言ったけど、
能力者たちは力をつけている。
恐らく今回の任務でも、戦う事になるでしょう」
私は平気だ。
覚悟は出来ている。
私には、身を守る術がない。
だから、彼らに刃を向けられる覚悟も、
彼らの手で命を奪われる覚悟も…
できている。
私は頷いた。
そんな私を見て、カトレアは
何故か悲しげに微笑むと、
私の頬をそっとなでた。
「辛くなったら、言うのよ?
私は、貴方の母親なんだから」
その手は、いつかのリヴィアの手と同じくらい
暖かかった。