心 ―ハジマリノウタ―
誰なのだろう?この声。
不思議と、聞き覚えがある。
私には、関係の無いことだけれど。
言うまでもない。
私は奴隷だから。
「それは違うわ…」
声は言う。
私はその声に耳を傾けた。
「貴方はあの工場から出た…。
今の主に値する人が、
連れ出してくれたでしょう…?
もう、奴隷で居る必要はないのよ…」
声は続けた。
「彼らは貴方が望めば、
仲間に入れてくれるでしょうし、
貴方が望めば、工場へ返してくれるわ…。
貴方はもう、自由なのよ…」