心 ―ハジマリノウタ―
行こう、ユアのためだ。
俺は一歩踏み出した。
彼女を失うとともに、救うための
一歩を。
「な、フェイク…!?」
一瞬で彼らの顔が驚愕と憎悪に染まる。
皆一斉に腰に手をやるが、
さすがに武器を持って居ないようだ。
だが、ユアの師匠は違った。
俺にぴたりと銀色の銃を
突きつける。
狙う先は、一寸も違わずに、
眉間の中心。
俺は手を上げた。
戦いに来たわけではない。
それに、俺を撃ったところで、
弾は当たらない。
ユアの師匠も俺を撃つ気はないようだ、
今のところは。
「何しにきたんだい」
彼女が凛とした声で言った。
エメラルドの瞳が、
俺を見極めるように見据える。
俺はその瞳にどう映るのだろうか。
「話がある。
ユアの事で」