心 ―ハジマリノウタ―


ユアの師匠は眉を片方あげて、

目を細めると、頷いた。




「わかった。着いてきな」




彼女が肯定した途端、非難の声が上がる。


正直、俺も驚いた。


こんな簡単に話が通るとは

思っていなかったのだ。




「リヴィア!何考えてんだよ!

あいつは、ハートを持つ者なんだぞ」




リヴィアは顔をしかめると、

俺には聞こえないくらい小さな声で何か耳打ちした。


すると、彼らの表情が一変して、暗くなる。


そして、俺に手で合図した、

着いて来い、と。


今なら引き返せる。


ユアが、俺を信じてくれるまで、

待てばいい。


もし万が一、彼女がイレになっても?


俺は、彼女をイレにしてまでも、

側に置きたいのか?


これしか、彼女を守る術はない。


俺は、また踏み出す。


彼女を失う歩み、

彼女を救う歩み。


俺は、暗い部屋へと足を踏み入れた。


リヴィアが俺に向き直る。



「話してもらおうか、アンタの用件」




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