心 ―ハジマリノウタ―
帰りは足取りが軽かった。
ユアを手放す時が近付いているというのに、
何故だろう?
きっと、彼らが本当に
ユアを愛していると、必要としていると
分かったからだろう。
もう、ユアが永遠に失われることは無い。
それだけで、心が軽かった。
ユアもきっと、
彼らの言葉を聴いたら喜ぶだろう。
俺は、ユアがこれから受けるであろう、
愛に満足していた。
ああ、だから最後に…
最後に俺に、笑顔を見せて欲しい。
そうしたら、俺はきっともう、
大丈夫だから。
これからは敵になってしまっても、
きっと、大丈夫だから…
笑ってほしいんだ。