心 ―ハジマリノウタ―



耳を疑うということを実感したのは

初めてだ。


つまり、それは

フェイクが私を捨てるということ?


私の心の中では微かに闇が動き始める。


しかし、私の予想に反して、

彼は首を振った。




「もちろん、違う。

俺は君を救いたいんだ。

彼らなら、きっと君を愛してくれる。

悔しいけど…俺以上に。

だから、行こう!」




私に手を差し出したフェイク。


その表情は、何かを決心したかのように

清清しい。


それでも、私は首を振った。


こんな私が戻っても、彼らを

危険に晒すだけだ。


私のためだけに、

そんな危険を増やすわけには行かない。




「ユア、リヴィアは、

心に闇を抱えていても自分達にとって、

ユアは大切だって。

そうユアに伝えて、って言ってた。

彼らのこと、信じてあげなよ」






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